冷房病を防ぐには、冷房を我慢して止めるのではなく、室温・体の冷え・水分不足を調整することが大切です。高齢者は暑さや喉の渇きを感じにくく、熱中症にもなりやすいため、冷やしすぎを避けながら適切に冷房を使いましょう。
冷房病とは?高齢者は熱中症との見分けが重要
「冷房病」は、冷房の効いた環境に長時間いることで、体の冷え、だるさ、頭痛、肩こり、腹痛などが起こった状態を指す一般的な呼び方です。医学的に決まった病名ではなく、症状の原因は冷えだけとは限りません。
高齢者の場合、冷房による冷えを気にするあまり冷房を止めると、熱中症の危険が高まります。だるさ、頭痛、吐き気、食欲低下などは、冷えだけでなく脱水や熱中症でも起こるため、室温と水分摂取の状況を合わせて判断してください。
高齢者が冷房病を防ぐための注意点
冷房を止めず、寒さを感じない温度に調整する
冷房の設定温度を一律に決めるより、室温計で部屋の温度を確認し、本人が寒さを感じない範囲に調整することが大切です。外気温、湿度、体調、服装によって適切な設定は変わります。
冷房の風が体に直接当たると、局所的に冷えやすくなります。風向きを上向きにする、風量を弱める、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させるなどして、冷気が一か所に集中しないようにしましょう。
体を冷やしすぎない服装にする
室内では、薄手の長袖や羽織るもの、靴下などを使って体温を調整します。特に首、肩、腹部、膝などに冷気が当たり続けないよう注意してください。
ただし、厚着をしすぎて汗をかくと、熱がこもったり水分不足になったりします。汗ばんでいないか、顔が赤くなっていないか、本人が暑さや寒さを感じていないかを確認し、服装を変えましょう。
喉が渇く前に、少しずつ水分をとる
高齢者は喉の渇きを感じにくいことがあるため、渇きを感じていなくても、食事のときやトイレの後などに少しずつ水分をとる習慣をつけます。冷たい飲み物が苦手な場合は、常温の水やお茶など、飲みやすいものを選びます。
汗を多くかいた場合は、塩分を含む飲料や食事が役立つことがあります。ただし、心臓や腎臓の病気などで水分・塩分の制限を受けている人は、自己判断で量を増やさず、主治医の指示を優先してください。
冷房の効いた部屋と暑い屋外を頻繁に行き来しない
冷房の効いた室内と、暑い屋外を急に行き来すると、体への負担が大きくなります。外出するときは、出発前に水分をとり、帽子や日傘を使い、暑い時間帯を避けるといった対策も行います。
帰宅後は、汗をかいたまま冷房の風に当たり続けないよう、汗を拭いて衣服を調整しましょう。入浴後や運動後も同様に、体が冷えすぎたり暑くなりすぎたりしないようにします。
本人が温度を適切に判断できない場合は周囲が確認する
認知機能の低下がある人や、一人暮らしの高齢者は、暑さや寒さをうまく伝えられないことがあります。家族や介護者は、本人の訴えだけでなく、室温、発汗、顔色、飲水量、尿の回数なども確認してください。
- 冷房の風が体に直接当たっていないか
- 汗をかいている、または手足が冷えすぎていないか
- 水分を普段どおりにとれているか
- いつもよりぼんやりしていないか
- 食欲や活動量が急に落ちていないか
冷房病と熱中症を見分けるときの目安
冷えによる不調では、冷房の風が当たる場所を離れたり、衣服を調整したりすると、症状が軽くなることがあります。一方、熱中症では、強いだるさ、頭痛、吐き気、めまい、筋肉のけいれん、発汗の異常などが現れることがあります。
| 様子 | 考えられる状態 | まず行うこと |
|---|---|---|
| 冷房の風が当たる部分が冷たい、寒気がある | 冷えによる不調の可能性 | 風を避け、衣服や室温を調整して様子を見る |
| 強いだるさ、頭痛、吐き気、めまいがある | 脱水や熱中症の可能性もある | 涼しい場所で休ませ、意識がはっきりしていれば水分を少しずつとる |
| 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い | 重い熱中症などの可能性 | すぐに救急車を呼ぶ |
冷房を止めて症状が改善するかだけで、冷房病と判断することはできません。高齢者に急な体調変化がある場合は、暑さや冷え以外の病気も考えられるため、症状が続くときは医療機関に相談してください。
この症状があるときは早めに医療機関へ相談する
次のような症状がある場合は、冷房病と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。
- 水分をとれない、または何度も吐いている
- 強い頭痛、胸の痛み、息苦しさがある
- 意識がもうろうとしている、反応が鈍い
- 立てない、まっすぐ歩けない
- 症状が休んでも改善しない、または悪化している
- 発熱や強い腹痛など、冷え以外の症状がある
意識がはっきりしない人に、無理に水分を飲ませるのは避けてください。誤って気道に入るおそれがあるため、救急車を呼び、指示を受けながら対応します。
高齢者の冷房病対策は「冷やしすぎない」と「暑さを我慢しない」
高齢者が冷房病を防ぐには、冷房を切るのではなく、室温計で環境を確認し、風を直接当てない、服装を調整する、こまめに水分をとることが基本です。
冷えによる不調に見えても、だるさや吐き気、意識の変化は熱中症や別の病気の可能性があります。まずは本人の様子と室内環境を確認し、改善しない症状や意識の異常がある場合は、早めに医療機関や救急へ相談してください。







